2021年7月– date –
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店主雑記
私の好きな本⑧『呪師に成る〜イクストランへの旅』カルロス・カスタネダ
「わしにとって世界が不気味なのは、それがすばらしく、荘厳で、神秘的で、底の知れないものだからだ」(『呪師に成る』より)なぜ、人は「本」を必要とするのだろう。なぜ、人は熱心に本を読み、情理を尽くして好きな本のことを語りたがるのだろう。まるでそれだけが、自分をこの世界に存在させてくれると固く信じているかのように。まるで... -
店主雑記
私の好きな本⑦『プレイバック』レイモンド・チャンドラー
Playback(ヴィンテージ版)チャンドラー最後の作品ここまでサリンジャー、ヘミングウェイ、クイーン(さらにはスヌーピー)と挙げてきたので、バランス的にこの時代の米国作家はもう入れまい……と考えていたのですが、やはりこの人を外すわけにはいきませんでした。ハードボイルド・探偵ものの代名詞、フィリップ・マーロウ・シリーズを遺し... -
店主雑記
私の好きな本⑥『ピーナッツ・ブックス』チャールズ・M・シュルツ(谷川俊太郎 訳)
人生において、最初に読んだ本を憶えていますか?親に読み聞かせてもらった本ではなくて、誰かに「これ読んでみたら」と手渡された本ではなくて、自分で棚から選び取って読みこみ、「これが自分の根本を作った」と言い切れるような本。自分にとっては、『ピーナッツ・ブックス』がそれに当たるのだと思います。幼少期、数年住んでいた生家の... -
店主雑記
私の好きな本⑤『人生のほんとう』池田晶子
池田晶子である。その名を口にすると、30度曲がっていた猫背がしゃんと伸び、瞳孔が開き、世界がクリアな色合いに染まるのを感じる。足下は床が抜け、生まれ落ちる前から、そして生まれ落ちてからもずっと、自分という存在は「宙吊り」だったことを思い出す。怖い。でもこの感じはきっと「本当」に近い。『人生のほんとう』について何か書け...
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