『月草夜想詩集』発売のお知らせ

突然ですが、詩集を作っています。
「なんで、喫茶店の店主が詩集を?」そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。もっともです。

なので、どうして詩集を作ることになったのか?
今日はその経緯について少し書かせてください。

僕が詩集を作る理由

昨年(2019年)の春先でした。
その日、僕は友人と10年ぶりに再会した勢いでしこたま酔ってしまい、翌朝目覚めると、矢川の公園のベンチに1人横たわっていました(写真は起き抜けにスマホで撮ったものです)。

画像5

日曜日だったので、公園内にはすでに子連れの女性やジョギングしてるランナーたち、体操をしている老人がちらほらいました。
いささか気恥ずかしい気持ちで身体を起こすと、桜の樹から落ちた花びらが顔や身体にたくさんくっついていました。傍らには空の日本酒の瓶がごろんと転がっていました。

「はあ(ため息)……久々にやっちまった」

激しい頭痛とともにひとりごちた瞬間、だしぬけに1篇の詩が落雷のように浮かびました。こんな詩です。

「あ、見える」
常夜灯が君の頬を藍色に染める
ハクセキレイがこちらを見ている
僕の心はカラスの羽根の如く硬い
修辞的誇張ではない
心が服に刺さるのだ マジに
「ねえ、この世が胡蝶の夢だとしたら」
ロウバイする僕の目をしっかと見つめながら君が云う
「……私が見える?」
こんなに大事なことは、そうはない。

その時、「もっと詩を書かねば」という強い気持ちに激しく襲われたのです。それを「啓示」と言うのはいささか大袈裟かもしれませんが、謎めいた力でけんぺいずくに突き動かされているような気がしました。

それから、毎週1篇の詩を創作するようになりました(おもに名曲喫茶で働いている最中に書きました)。

そうして昨年の冬、したためた詩編の数が30篇を超えた頃、
「こうなったら、モーツァルト交響曲に倣って41篇の詩を詩集に纏めるのはどうだろう?」そんな不遜な考えが頭に浮かんだのです。

それから今年の春に至るまで60篇近い詩を作った後、それを全41篇に編み、書籍化することを決意した次第。

Kindle(電子書籍)やnoteマガジンで販売する方が良いのでは?

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。もっともです。

しかし僕としては、どうしてもこの詩集を、手に取れる「紙の書籍」にしないわけにはいかなかったのです。
そこには、幼少期からの本好きとして「紙の本」への強い思い入れもありますし、もう少し個人的な理由もあります。

僕はこの詩集を、供物として、大切な、亡き人たちの霊前に捧げたい。
そして、やはり大切な、今、ともに生きている人たちに手渡したいのです。もし実際にこの手で渡せなくても、手に取ってほしいのです。
そうして、手に取ってくださった方がずっと手元に置いておきたいと思うような詩集にしたい。無論、このような思いには「コロナ渦中」という悩ましい現世界も少なからず関与しているように思います。

詩集概要

そういうわけで、謎の確信を以て誠意製作中のこちら詩集ですが、装幀・デザインを、かねてより僕の大好きなリトルマガジン『1/f(エフブンノイチ)』を作られている、デザイナーの長尾契子さんにお願いしました。 1/f tiny publisher ロンデルは「ここちよい、ゆらぎ」をテーマにしたリトルマガジン『1/f(エフブンノイチ)』の編 ehubunnoichi.com

また、最高にキュート&クールな白猫装画は友人のイラストレーター、フランスガムさんが描いてくれました(当noteのトップ画像はこちらの原画です)。裏表紙も最高にキュートなので、ぜひとも見て頂きたい……。

画像1

francegum.com イラストレーター小林晃aki kobayashiのページです。 フランスガムの名の下に様々な創作活動をしています。 www.francegum.com

タイトルは『月草夜想詩集』(文庫本サイズ/価格未定)です。
発売日は、2020年12月中旬を予定しています(正式な発売日はもう少しお待ちください…)。
販売は紙の書籍のみ、初回100部はオンライン先行販売(特典あり)となります(来月には、当サイトから予約/購入できるようになります)。
また、郵送の他に、直接手渡しする機会も作ろうと目論んでおります。

発売まであと1ヶ月半ありますが、この『月草夜想詩集』を皆さんのお心に留めておいて頂けると、いち詩書き人として心から嬉しく思います。愛月

目次
閉じる