バンクーバー道中記⑤「ティールームとかバーとか」

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ロブソン・ストリートで見かけたスプレーアート

11月17日(土)。午後2時起床。
前日のビクトリア島ツアーの疲れと冷えで、僕も母も昨夜から調子を崩してしまったらしく、前日は午前6時まで寝付けず、身体の節々が悲鳴を上げる中、起き上がり、いつものようにスタバでバナナとコーヒーを摂取するところまでどうにか持っていった。それにしても、スタバにおける朝食がすっかり習慣になってしまった。日本ではほとんど足を踏み入れることのないスターバックスに。

母の提案で、シンガポール発祥のティールーム『TWG』へ向かう。
東京(自由が丘)にもあるらしいから、わざわざバンクーバーで行かなくても良いのでは……と訝しがっていたのだが、いざ入ってみると、華やかだけど押しつけがましいところがなく、此処が出来るまではバンクーバーではまずお目にかかれなかったであろう素敵なティールームだった。

アジアン・ビューティー風のおとなしそうな店員さんが「もしかして日本人の方ですか?」と声をかけてくれる。
中国人とどうやって見分けるのだろう(とは言わなかったが)。チップのアバウトさについて、こちらの紅茶事情や留学事情についてなど気さくに話してくれた。
紅茶のお代わりを注ぎに来てくれた店員さんはまた別の日本人女性。こちらは関西弁で気さくなタイプ。昨年大学に入ったばかりで、向こう4年はここで働いているので、ぜひまたいらしてください、とのこと。4年後も、自分が同じ店で働いていることに確信が持てるのって凄い。今の自分には1週間後の確信さえも抱けない。

焼き立てのスコーンとアッサムティーを頂く。何処へ行っても、おいしい紅茶は精神と身体に唯一無二の安寧を付与してくれる。コーヒー党の僕でもそれは認めなきゃならない。

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旅行者目線の偏りもあるかもしれないが、バンクーバーで言葉を交わした何人かの日本人留学生たちからは、じつに意思的で強い主体性が感じられた。しかし当然と言えば当然で、何かしら明確な目的意識とそれを遂行する強い意思と経済力を持たない学生・社会人はわざわざバンクーバーくんだりまで来られないだろうから。
バンクーバーに限ってではないのだろうが、なんだか皆、「ぴりっ」としていると感じる。日本の街を歩いていると、「厭だけど、まあ仕方あるまい」的通奏低音を感じることが多いが(自分もたっぷり醸し出しているだろう)、この街ではそうした無気力な空気感が微塵も感じられない。路上でコインを集めているホームレスも、くっきりした自主性・主体性を漲らせている。

TWGを出て、母が調べをつけていたカナダ発のオーガニック・エッセンシャルオイル店『Saje(セージ)』へ。そこで口紅のようなロールオイルスティックを、バングラディシュ系の美女がいきなり首に塗ってくれた時はちょっと驚いた。好みの香りで、急に首の疲れが取れたような気がしたのでショートサイズを1本購入(20ドル)。頭痛や睡眠障害にも効くとのこと(実際、効いた)。
それからロブソン・ストリート斜向かいの、いかにも古き良きカナダ土産物屋さんといった雰囲気の雑貨店で知人にあげるお土産を購入。大量のメイプルシロップやキーフォルダーを抱えていったんホテルへ戻る。

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今回の旅で度々訪れたお気に入りの公園ベンチで一服してから、母と再び散策を続ける。
僕の目当てであった図書館横のパブまで歩き、薄暗い窓から中を覗く。「ナイトクラブ」というより、カナダの古色蒼然としたバーのような雰囲気。ピンボールやジュークボックスまである。客はいかにも「カナダ人然」としたガタイ良い中年男性が数名、退屈そうに瓶ビールをラッパ飲みしている。カナダっ子が「飲んで踊って」のクラブイベントが催されていると聞いて来たのだけど……日曜だからだろうか。

やむなくスルーして適当に歩いていると、もう少し今風のカフェというか——各テーブルに炎が煌々と燃えている——が出現したのだが、なんとなく気分に合わなかったのでここもスルー。
ホテル近くのさびれたアイリッシュパブは好みの雰囲気だったのだけど、母が入りたくない様子だったので(僕1人だったら入って黒ビールとアイリッシュウイスキーをあおっていただろう)、またスルー。
ホテル近くにはいかにも落ち着いた雰囲気の英国風パブがあったのだが、ドレスコードがありそうな「お堅い」雰囲気だったのでやはりスルー。

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スルーにスルーにスルーを重ね、結局、宿泊しているホテル1階のバーにするっと入った。
結果的には良かった。これまで入ったどの店よりも落ち着けた。マルゲリータ・ピッツァとIPA(インディアンペールエール)のドラフトを注文。母はジンジャエール(銘柄はカナダ・ドライしかない)。

眠たさと疲れであまり記憶がないのだけど、そのバーには1時間半か2時間くらいいたと思う。ホテルのバーというのは面白みはあまりないけれど、なんかんので落ち着いた心持ちを提供してくれるという点で巨大な価値がある。店を出るとすぐにエレベーターで部屋まで直行できるのは大きい。会計もレシートに部屋番号を明記するだけで済む。

部屋に戻って、軽く酔った感じでこの雑記を記している。これからシャワーを浴びます。 おやすみなさい。(続きます!)

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