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バンクーバー道中記⑥「さよなら、バンクーバー」

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11月19日(火)。カナダ旅行最終日。
例によって昨日もうまく寝付けなかったが、Saje(セージ)で購入したオイルスティックの効果か、3時間ばかり、異様なほど深く眠れた。起きた時、自分が何処にいるのかわからなくなったくらい。

今はいささか神経症っぽいような、何かに急かされているような、ひどく名残惜しい心持ちで、熱いコーヒー(スタバのクリスマスブレンド)を急いですすっている。
今日はバナナもクロワッサンもなし。と言うのは、ロブソンストリートにあるオーガニックレストラン『トラクター』に3度めの食事を頂きに行きたい気持ちがふつふつと高ぶっているから。昨日食べたチキンサンドイッチとトマトとフェンネルのスープも忘れ難い。あれほどおいしいカフェが都内にあったら、毎月食べに赴いてしまうかもしれない。

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「出発まであんまり時間ないけど大丈夫?」母が心配していたが、結局、大通りをひた走って(往復10分)『トラクター』に赴き、ベジタブル・ラップドサンド(写真)をテイクアウトした。
スタバの外テーブルでほおばる。熱々でスパイシーで芳醇な味わい。カナダ最後の食事がこれで良かった。

あと1時間もしたらホテルを出てタクシーでバンクーバー空港に向かうわけだが、今回の旅行について何か思うところはあるか?と自分に問うてみると、当然のことながらたくさんある。が、今はそれを詳細に記すには身体も精神もうまく働いていない。
今思い出せるのは、街から歩いて40分くらいの海岸に赴き、母のダンスを撮影したことだけだ。カモメが飛び交う雨の中を。この旅行中、もっとも心に濃く焼き付いた時間だった。そのためにバンクーバーに来たのかもしれないような気さえする。

さあ、そろそろ荷物をまとめてチェックアウトしなければ……。

今は昨日頼んだタクシーの中、スマホに向かってこれを打ちつけている。帰りは旅行会社のバンを手配しないで正解だった。無口で屈強な外国人が法定速度ギリギリで飛ばすタクシーに乗って帰りたい気分だった(それは正しい選択だった)。
そして空港に着いたら、最後にもっかいティム・ホートンズに行くだろう。今度は余裕たっぷりの笑顔で自分から言おう。
「I’d like to have some donuts.」と。
彼女は「sure.」と無愛想に言ってからトングを手に取るだろう。
僕は立ち並んでいるドーナツを目で追いながら、
I’ll have…..an old fashioned, penuts butter donut, sugar razed, and Chocolate donut.
と、できれば流暢に言う。
彼女はにこりともせずに、Anything else? と言うかもしれない。
僕は「May I  have a cup of coffee, short size, double paper cup, OK?」笑顔で言う。
そして紙コップの縁までなみなみと注がれた小ぶりのコーヒーカップを受け取る。
「Thanks! I’ll come back here. See you sometimes!」
僕がそう言うと、彼女は肩をすくめる。かもしれない。でも、きっとまた来るから。See you soon, Vancouver!!!
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